【エターナルにならない】RPGツクールGB・GB2で作る簡単レトロゲーム開発の秘訣【謎解き・脱出・RPG】

歴代『RPGツクール』シリーズの中で、一番手軽でシンプルに作れるのが、『RPGツクールGB』とその2作目の『うちゅう人田中太郎でRPGツクールGB2』。

携帯ゲーム機・ゲームボーイカラーだからこその無駄のないシンプルさでありながら、一般的なJRPGなら今でも十分作れる使いやすさを併せ持っています。

ゲームボーイなので、今のツクールのようにパソコンに向かってガッツリ開発!とはいきませんが、その代わりにポチポチとゲームボーイを操作していつでもどこでも、ちょっとしたスキマ時間に少しずつゲーム制作を進められるのは、今のツクールにはない楽しさがあるんです!

現代の開発ツールやPC・スマホの環境というのは『多機能・美麗グラフィック・大容量こそ正義』という思想で作られています。
表現力が向上するメリットがある反面、開発者にとってはデメリットになることもあります。

  1. 多機能だということは、それだけ学ぶべきことが増えます。構造が複雑になります。
  2. 大容量だということは、たくさんのデータや素材を作らなければいけなくなります。
  3. 多機能・大容量だということは、たくさんのことを決めなければならなくなります。

そのため、何かいいアイデアが思いついても、始めるための腰が重くなり、頑張って続けてもエターナルという未完成の挫折、未完成だから自信を喪失する、モチベーションが下がるという悪循環におちいりがちに。

現代の開発環境は初心者開発者にとっては優しくないのではないかと感じています。

これらの問題を一気に解決してくれるのが『RPGツクールGBシリーズ』なのです。

  • ゲームボーイなので、既存のRPGツクールのプラグイン等のように、ゲームシステムはほとんどいじれない。そのため『ストーリー中心のJRPGやアドベンチャーゲーム』になります。
  • メッセージ入力もキャラクターの名前を入力する画面で行うため、長いセリフは入力が辛い。短く、端的に表現したセリフを作らざるを得なくなり、無駄がなくなる。キーボードなんてもちろん使えません。
  • 容量が小さいからこそ作りきれる可能性が上がる』。エターナルになりづらいのが大きなメリット。『多機能・大容量ではないからゲームが完成しやすい』。RPGツクールGBくらい制限があったほうが、ゲームは圧倒的に完成しやすいです。
  • PCを立ち上げなくてもゲームが作れる。『いつでも・どこでも・スキマ時間にちょっとゲームを作ろうが簡単』にできます。
  • できることが少ないからこそ自然に引き算思考で作れる』ようになり、作品の密度や濃さが高まっていく。あれもこれもではなく『要らない部分を削ぎ落としていって、最後に残った重要なものがその作品の独自性』につながります。

大きく、4つの工程で進めていきます。

  1. ゲームアイデアの素材集めをします。
  2. ゲームの構成・プロットを考え、物語にします。
  3. 物語をシナリオ形式に変換していきます。
  4. RPGツクールGBでイベントとして実装していきます。
  • 最低限『誰が、どこで、何をする話』かを決めます。男が魔王を倒す話、女の子が洞窟に薬草を取りに行く話、おじいさんが失くしたものを探す話、などシンプルに。どんな名作も突き詰めればシンプルです。まず、そのシンプルさを作ります。
  • 「誰が」の部分がゲームの主人公にあたり、「何をする」部分が主人公の目的になります。目的を邪魔する最大の障害がラスボスです。
  • 世界観や人物設定など細かい設定を考える必要はあまりありません。考えたければ考えてもいいですが、おそらくゲームボーイの小容量では表現しきれないし入りきらないでしょう。
  • 開発者が好きなものや入れたい要素、シーンがあれば、アイデア段階で候補を出しておきましょう。エンタメ作品では、自分が好きなものを入れるのはとても大切なことです。
  • アイデアの段階というのはいわば『素材集めの段階』です。いくらでも集めて膨らませてOK。それらの素材を実際に使うかどうか選別するのは、次のゲームシナリオの工程です。

『誰が』の決め方

  • 「誰が」の部分は、多くの場合、職業が始めに思いつきますが、多くの人に興味を持ってもらいたいなら『「誰が」に有名人をいれてみる』のは良い発想の方向性です。ただの侍が主人公よりも坂本竜馬が、近藤勇が、土方歳三がと言われたほうがプレイヤーはイメージがしやすく、興味を持ってもらいやすくなります。わかりやすいものに人は興味を持ちます。
  • 「誰が」の設定を深めることで、興味をそそられやすくできます。例えば、侍⇒坂本龍馬⇒薩長同盟前日で同盟がうまく締結するかわからない状況での坂本龍馬、などのように『現状を打破しなければいけないと、追い詰められている人物になればなるほど興味をそそられる設定』になっていきます。

『何を』の決め方

  • 「何を」は、普段やっているようなことでも構いません。例えば、買い物や掃除、なくしたものを探すもゲームになります。
  • ファンタジー設定なら自分よりも強い敵を倒すのは王道です。悪いやつを倒すだけでなく、落ちこぼれの人がナンバー1を目指す、弟子が師匠を超えるなども自分より強い敵を倒すことにつながります。
  • 「何を」を決める時は『動詞を意識』してみましょう。ゲームというのは、プレイヤーが行動し何かを達成するためのものですから動詞で表現できます。「行く」「脱出する」「倒す」「探す」「調べる」「集める」「届ける」など、思いつかない時は様々な動詞を探してみましょう。

『どこで』の決め方

  • 「どこで」も大切な設定です。舞台設定であり、実際にマップを作る場所になります。
  • GBの場合、あまりたくさんのマップ素材はありません。使えるのは「おしろ・まち・むら・ダンジョン」のみ。GB2の場合はさらに「げんだい」が使えます。
  • いくらシナリオで考えても、マップとして実際に作れなければエターナルになってしまうので、ここは逆算で上記の中から場所を選びましょう。
  • GBは中世ファンタジー世界観のマップが多いので、和風の舞台は作りづらいです。人物には和風のキャラもいるので和風の人物は使えますが、舞台は異世界転生などの設定を使ってシナリオ面で工夫しましょう。
  • 誰が、何をする話』を分割していきます。
  • 最低4つになるように分割しましょう。
    ①オープニング
    ②ダンジョン探索
    ③ラスボスと対決
    ④エンディング

    ぐらいに。

  • この分割した部分が「作るべきシーン(自動イベント部分)」になります。
    ①オープニングシーンイベント
    ②ダンジョン探索を始めるシーンイベント
    ③ラスボスと出会うシーンイベント
    ④エンディングシーンイベント
  • この段階で、好きな要素や入れたい要素をシーンとして組み込んでみましょう。
  • ストーリーとしての表現力を高めるには、4つの分割数を増やせばいいです。多くても12〜16程度あれば十分な物語体験になります。上記4つが基本なので、増やすのは基本が完成してからにすることが大切。未実装要素ばかりが増えすぎると、制作するモチベーションが下がってしまいます。
  • ストーリーを面白くするには『登場人物に隠された事情や話していない秘密を入れる』のが簡単。登場人物が隠していることをラスボス前やエンディングで暴露してみましょう。それだけで面白くなります。
  • この、構成・プロット作りが『ストーリーを作っていく段階』です。
  • 4つのシーンを『場所・動作・セリフ』の形式に変えていきます。
  • シナリオ化は『わかりやすく伝わるようにするにはどうすればいいかを考える』段階です。
  • 短いプロットでも、キャラ設定やセリフを変えることで表現できるものが大きく変わり、プレイヤーが持つイメージや先入観を誘導したり、期待感を作ったりできます。
■文章プロットの例
 ゴート城につくと、城門は二人の兵士によって守られていた。
 一人は自らの仕事の意味をまったく理解しておらず、もう一人は仕事熱心な男。
 私は厄介な男が城門から離れていくのを、今か今かと心待ちにしていた。

これを以下のようなシナリオ形式のテキスト表現に変換していきます。

■シナリオメッセージ変換の例(16文字 x 4行)
 4つのパターンを描いてみました。
 それぞれの表現でそのシーンの意味が変わるのが面白いポイントです。

▼パターンA
【オープニング】
◯ゴート城
   城門の前に立っている二人の兵士。
   城門から離れた場所に主人公が隠れている。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
もんばん「あ〜 こんやも ひまだな
 たっているだけなのも つらいな
−−−−−−−−−−−−−−−−
 「なにも おこらないのに
 なんで みはり するんだろうな
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
へいし「オレ は むこうを
 みてくる
−−−−−−−−−−−−−−−−
「しっかり しごと しろよ

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

▼パターンB
【オープニング】
◯ゴート城
   城門の前に立っている二人の兵士。
   城門から離れた場所に主人公が隠れている。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
へいし「おい! また さぼってる
 のか?
−−−−−−−−−−−−−−−−
もんばん「ちがうよ... つまの びょうき
 が しんぱいで...
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
へいし「...そうか。 オレが みてる
 いってこい
−−−−−−−−−−−−−−−−


◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

▼パターンC
【オープニング】
◯ゴート城
   城門の前に立っている二人の兵士。
   城門から離れた場所に主人公が隠れている。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
べテラン「きょうで この しごと
 やめるんだ
−−−−−−−−−−−−−−−−
しんじん「え? なんで?

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
べテラン「むすこが うまれるんだ

−−−−−−−−−−−−−−−−
ベテラン「あんぜんな しごとに 
 つきたくて
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
きょうが さいご の けいび だ

−−−−−−−−−−−−−−−−


◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

▼パターンD
【オープニング】
◯ゴート城
   城門の前に立っている二人の兵士。
   城門から離れた場所に主人公が隠れている。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
もんばん「むかし この しろで
 むすめ と であったんじゃ
−−−−−−−−−−−−−−−−
へいし「また そのはなしか?
 けいびに しゅうちゅう しろよ
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
もんばん「うつくしい むすめだが
 ためらいなく おうをきりすてた
−−−−−−−−−−−−−−−−
へいし「いつの はなし だ?

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
 そんなこと おぼえている
 のは おまえさんだけ だろうよ
−−−−−−−−−−−−−−−−
もんばん「いま その むすめ が
 しろの あるじ なんじゃよ...
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

メッセージ上限数(GB)

■メッセージ表示の仕様
 ・1個のメッセージで4行分登録ができ、2行分ずつ表示される。
 ・1行は16文字まで入力できる。

■各マップにおけるメッセージ最大個数
フィールド:60個まで
  おしろ:60個まで
   まち:60個まで
   むら:60個まで
ダンジョン:30個まで ※ダンジョンのみ少ないので注意。
 よく使う:30個まで ※頻繁に表示するメッセージを登録できる機能。ここに登録したものは全マップで使える。

実装の基本的な流れ

■RPGツクールGBでの開発の基本
 ①『マップ』を作る
 ②『メッセージ』を作る
 ③『イベント』を作る
 ④『テストプレイ』をする

 が基本。①〜④をゲームシナリオのシーン数の分だけ繰り返し、ゲームを作っていく。

▼【移動】主人公を動かせるようにするまで
 ①「マップ」でプレイヤーキャラクターを置くマップを作る。
 ②「しゅじんこう」でプレイヤーキャラクターの名前を作る。
 ③「しゅじんこう」の「パーティーのせってい」でゲーム開始時の初期位置を決める。
 ④エディター画面でスタートボタンを押し、テストプレイを開始する。
 「はじめから」を選ぶと、プレイヤーがマップを動けるようになる。

▼【話す】主人公がNPCと話せるようにするまで
 ①「メッセージ」で町の人のセリフを追加する。
 ②「イベント」で町の人のイベントを作成する。
 ③イベント内容で追加したメッセージを表示する。
 ④テストプレイをすると、プレイヤーがいるマップにNPCがいて話せるようになる。

▼【戦う】主人公がボスと戦うようにまで
 ①「メッセージ」でボスのセリフを追加する。
 ②「モンスター」でボスのデータを追加する。
 ③「イベント」で、マップにボスのイベントを作成する。
 ④イベント内容で追加したメッセージを表示し、「てきとたたかう」とボスのデータを設定する。
 ⑤テストプレイをすると、プレイヤーがいるマップにボスと戦えるようになる。

イベントを中心に考えること

  • イベントを中心に作っていくこと』を意識する。ゲームストーリーにおけるシーンとなる自動イベント部分を実装していくイメージ。これらは『主人公・マップ・メッセージ・イベント・スイッチ』の設定だけで作れる。
  • 無闇にデータ類(モンスター・まほう・アイテム)を増やさない』こと。イベントに必要なものだけを少しずつ追加していくのがエターナルを避ける。あくまで『イベントが中心であり、それに付随しているのがデータ類だというイメージを持つ』こと。
  • イベントを作るために『①主人公⇒②マップ⇒③メッセージ⇒④イベント⇒⑤スイッチ』の順に実装していく。

はじめはアドベンチャーを作り、次にRPGに進化していく

  • 始めに目指すべき目標は『オープニングからエンディングまでのイベントがすべてできている』こと。アドベンチャーゲームの場合はこれで完了となる。
  • RPG(ロールプレイングゲーム)の場合は、この後に「モンスターの追加・敵出現の追加・アイテムの追加・魔法の追加・戦闘バランスの調整」などを行っていくため、RPGのほうが作るのは大変。
  • アドベンチャーゲームとRPGの違いは『プレイヤーが成長するかどうか?』にある。プレイヤーの成長を表現するために「ステータス」がRPGには存在している。アドベンチャーゲームにはプレイヤーのステータスは必要としない。

ゲームの進行管理方法は?

  • ゲームの進行管理方法は『スイッチで管理する』か『フラグアイテムで管理する』かのどちらかが基本。
  • 使う頻度は少ないが『特定のパーティーメンバーがいるかどうか』でも管理できる。
  • 『フラグアイテムで管理する』方が開発者としては実装は簡単。例えば、ゲームクリアに3つのアイテムが必要なら、アイテムAをもっているか、アイテムBをもっているか、アイテムCを持っているかで判別できる。但し、『アイテムA・B・Cすべてを持っているかどうかの判別はコマンド1つではできない』ので注意。Aを持っていたらBも持っているはず、Cを持っていたらBも持っているはずという時系列順での制約をつけたほうが楽なので、ゲームシナリオで工夫するとよい。
  • 但し、『フラグアイテムで管理する』方法はプレイヤーが毎回、アイテムを入手しなければならなくなる。何かを集めるコレクション系のRPGになら使えるが、そうではないゲームを作る場合は『スイッチ管理』方式を使うことになる。

スイッチ管理表を作る

  • 基本的にゲームの『進行状況の管理はスイッチだけ』で行うように作るのが設計的にはキレイ。今のツクールのようなセルフスイッチ・変数・コモンイベントなどは一切ないので、実装はシンプル。
  • ゲームの開始からオープニングまでを段階的に分けて、各スイッチに割り当てていく。すべてのスイッチがONになれば、ゲームクリアという仕組み。
  • スイッチ管理のリストは必ず作ること。GB・GB2ではスイッチに名前をつけられないので、自分でノートやExcelなどの表計算ソフトで『スイッチの管理表を作る』のが非常に大切。そうしなければ、スイッチの管理ができなくなる。
  • サンプルゲームのイベントデータを見ても、各スイッチの意味がわからなければ、処理の流れを読み解けない。

『コピー・貼り付け・移動・せいとん』操作に注意!

  • メッセージ移動の注意。メッセージをコピー貼り付けやせいとんで移動しても、イベントで設定したメッセージ指定は自動変更されず、そのままなので注意すること。後から、メッセージ番号を移動する変更コストは非常に高くつくので、メッセージ番号は一度入力したら変えないのがベスト。
  • 余談ですが、『RPGツクールはどのバージョンでも一度登録したデータを並び替える操作には非常に弱いツール』です。そのため、考えながら、データを追加し、後でデータを整理するという作り方には向いていないUI設計になっています。RPGツクールが想定しているのは、メッセージを最初から最後まですべて決めてから入れる決め打ち方式。RPGツクールの宿命でありツクラーの宿命。内部IDをUUIDにして、並び替えやコピペによるデータのつながりの自動連動はできるようになればいいのに。ここが変わるとツクラーの開発体験もだいぶ変わってくるはずです。

最大個数の仕様を把握すること

  • 各マップにおけるイベント個数が人・もの・宝箱で最大個数が決められている。あまり多くはないので注意が必要。

サンプルゲームをエディットしてみる

  • RPGツクールGB・GB2にはサンプルゲームが入っています。実際にサンプルゲームをプレイしてみて、気になった部分をエディットで見てみるのはとても勉強になります。GB2では丁寧なチュートリアルもついています。
  • ゲームシナリオにおける重要なシーンは、自動イベントを作って表現していきます。
  • 自動イベントは「プレイヤーが特定の場所に来たら」実行されるのが一般的です。

自動イベントを作る基本

  • 3つのスイッチを基本に考えるとよい。起動スイッチ・実行中の進行管理スイッチ・自動イベント終了のスイッチ。
  • 【起動】主人公がマップのどこかに触れたら、特定のゲームスイッチをONにする。
  • 【実行】そのゲームスイッチがONになったことでNPCが話すような処理をする。
  • 【終了】実行完了のスイッチをONにする。完了スイッチがONになっている時、グラフィックを透明で表示する。

起動イベント

  • 起動イベントを置く場所は『マップ切り替え前の出口』がおすすめ。自動イベントの開始トリガーとなる起動イベントは『マップ切替後の入口に置くよりも、マップ切り替え前の出口に置いた方がいい』。1マスの通路などでない限り、マップ切替後の入口に置くと、プレイヤーがいる可能性のある場所が複数になりがちだが、マップ切り替え前の出口で場所移動を指定すれば、自動イベント発生時にプレイヤーのいる場所を確実に指定できる。
  • 自動イベント発生のトリガーとなる起動イベントはマップの一番端に置かない。マップ切り替え直後のマスはイベントが起動しないことがあるため、起動イベントを置く場所は『マップ端-1マス』が安全。

イベントの状態管理

  • 1つのイベントが持てるページ数は最大4つまで』なので、4つまでの状態を管理できる。4ページでイベントの発生から終了までを管理しなければならない。
  • イベントに条件設定ができるのは2ページ目から。1ページ目では条件設定ができない。

1ページ目の役割

  • イベントの存在を示す役割。イベントをおいた瞬間に自動的に作られる。
  • ゲームの進行状況によっても話すセリフが変わらない、情報提供をする村の人のようなNPCであれば、1ページ目のイベント内容にメッセージを入れるだけで完了。

2・3ページ目の役割

  • 2ページ以降は条件指定が使えるようになる。
  • 条件指定により「あるアイテムを持っていたら、ある人がパーティーにいたら◯◯をする」ということができる。

4ページ目の役割

  • 基本的に、ページ4はイベントの終了でのみ使う。自動イベント終了後に、そのイベントのグラフィックを透明にし、イベントを何も実行せずに見えなくさせる役割。

永続的なイベントの消し方

  • 「イベントをけす」コマンドを実行すればその時はイベントが消えるが、マップを入り直すと復活してしまう。永続的なものではない。
  • 永続的に消すにはイベントをけすコマンドではなく『トリガーを「ふれたとき」グラフィックを「0番(透明)」に設定する』のがポイント。イベント内容は何もなしにする。
  • ボスキャラや仲間になったNPC等の一度しか起こらないようなイベントを作る時に、よく使う。その場合、ページ4では、イベントを消す処理を実行できなければいけないので、1〜3段階しか変化できない制約になる。

BGM演出は非常に重要

  • 自動イベントの時は、BGMを変える演出は思った以上に重要。BGMによって、ゲーム体験がかなり変わってくるので必ず変えることをおすすめする。

オープニングイベントの作り方

■オープニング自動イベントの作り方
 RPGツクールGBのサンプルゲーム『ノーブルキャット』のデータを見ていきます。

①初期位置の確認
・エディット⇒「しゅじんこう」を選ぶ。
・パーティーの設定⇒「パーティーのしょきいち」に表示されているマップ名とフロア名を確認する。
・エディット⇒「イベント」を選ぶ。
・「パーティーのしょきいち」に表示されているマップ名とフロア名を開く。
・「!」マークが表示されたイベントがあるので、それを開く。
 これがゲーム開始時に一番初めに実行されるイベント。

②マップA(暗転マップ)でイベント1
   ページ:1
グラフィック:0(透明)
 開始タイプ:自動スタート
イベント内容:メッセージ(主人公の名前を決めてください)
       主人公の名前をいれる
       場所移動(マップBへ)
       BGM変更
       ニーナをくわえる
       ロコをはずす
       
▼マップBでイベント1
   ページ:1
グラフィック:0(透明)
 開始タイプ:自動スタート
イベント内容:パーティー左向く
       ゲームスイッチ1をオン
       イベント消える

   ページ:2
    条件:スイッチ1オン
グラフィック:0(透明)
 開始タイプ:ふれたとき
イベント内容:なし

始めに主人公の名前を作る

  • はじめに、「しゅじんこう」で主要登場人物のキャラクターを名前だけは入れて作ること。
  • そうすれば、メッセージ作成でキャラクター名を使えるようになる。
  • 「しゅじんこう」で呼び出した名前なら、後からでも簡単にメッセージ内の名前表示を自動変更できる。

パーティーメンバーの増減で装備がはずれることに注意

  • 「しゅじんこう」で設定したメンバーを加えたり、外したりすると『自動的にそうびがはずれる仕様』になっている。
  • そのため、パーティーメンバーの増減操作を行うと、プレイヤーが操作できる状態に戻したときに装備が外れていることになるので、再装備を促すメッセージを表示しなければならないし、プレイヤーもいちいち装備し直ししなければならなくなるので手間がかかる。
  • パーティーメンバーの増減は、使うタイミングに注意をしたほうがよい。

『透明』主人公はオープニング・エンディング・回想シーンで役に立つ

  • 演出を強化したい時は「しゅじんこう」で『グラフィック:0の透明なキャラクターを作っておく』といい。
  • 透明なキャラクターがいることで、オープニングでのマップ背景とメッセージだけのシーンや、プレイヤーが画面にはいない、過去の回想シーンなどが作れるようになる。

『場所移動』は簡単に制約突破できる裏技コマンド

  • RPGツクールGBの仕様として『場所移動後もイベントは実行される』ようになっている。
  • この仕様を活用すると、マップAにイベントを設置し、場所移動でマップBに移動した後でも、場所移動前のマップAイベントに書かれた内容は実行される。
  • つまり『場所移動イベントを使うとマップAで定義されたメッセージをマップBで表示することができる』。
  • さらに、『場所移動コマンドを使うと、場所移動でイベントの自動実行は終了するため、自動実行イベントを終了させるためのスイッチもいらなくなる』。実装が非常に楽になるので、うまく活用したい。

暗転マップの暗さの違い

  • ダンジョンとそれ以外のマップでは暗転マップの黒背景の濃さ、明るさが違う。
  • ダンジョン以外のマップでは黒背景が明るく、ダンジョンでは黒背景が濃く暗い。

スイッチ

  1. ゲームスイッチは最大200個まで使える。
  2. テストプレイ時にセレクトボタンを押すと、スイッチの状態をリアルタイムに確認できる。
  3. GBには、IF文のような条件分岐判定を行うイベントコマンドはないので、スイッチを使うのは、イベントの起動条件でのみ。

メッセージ

  1. メッセージの移動(コピー&はりつけ・せいとん)はできるが、メッセージを移動しても既に作ったイベントで呼び出したメッセージには自動反映されないので注意。メッセージの移動を行った場合、イベントで呼び出しているメッセージも手動で変更していかなければならない。
  2. キーワードは最大5文字まで、10個までしか登録できない。

マップ

  1. マップ制作は、マップパターンを選び繋げていく方式。マップタイルチップを1マス単位での編集はできないが、だからこそ簡単にマップを作れるメリットもある。
  2. 1つのマップパターンサイズは『縦9マス x 横10マス』。
  3. マップパターンを選び『6 x 6』のマップに配置し、マップを作っていく。
  4. つなぐ』コマンドを使うと、既存のマップに合致しているものだけが選べるので、非常に便利。通路のつながりチェックなどをする必要もない。
  5. 1列1行に表示できるキャラクターは6体まで。

セーブ

  1. セーブは3つまでできる。サンプルゲーム(サンプル)・作成したゲーム(ユーザー)・テストプレイ(テスト)で共通。
  2. エディットの『ゲームデータクリア』をすると、セーブデータも消えてしまうので注意。これはテストプレイのセーブデータだけでなく、サンプルゲームやユーザーゲームのセーブデータも消えてしまう。

コピー&はりつけ操作の仕様

■コピー貼り付けの仕様
 ・コピペ機能は、編集するデータによって使えたり使えなかったりするので、やはり、事前に一通りの内容を決めておいた方が手戻りなく制作ができる。

▼マップ制作
 ・マップのコピー貼り付けはできない。

▼メッセージ制作
 ・メッセージは異なるマップ間でもコピー貼り付けができる。
 ・すべてのメッセージを作って、一通り整理してから、イベント制作をするのが理想ではある。
 ・しかし、理想通りには制作は進まない。

▼イベント制作
 ・異なるマップ間でのイベントのコピー貼り付けはできない。
 ・イベントのコピー貼り付けができるのは同じマップ番号のものだけ。

▼データ制作
 ・「しゅじんこう・モンスター・アイテム・まほう」のコピペはできない。

ゲームボーイ本体とRPGツクールGBのソフトが必要です。

【必須】RPGツクールGBソフト

ゲームボーイでRPGツクールは、2作出ています。
どちらも操作方法はほとんど変わりません。2の方が若干使い勝手が良くなっています。

【必須】ゲームボーイ本体

ゲームボーイ本体は『ゲームボーイカラーかゲームボーイアドバンスかゲームボーイアドバンスSP』のどれかを選んでください。
縦持ち型よりも横持ち型の方が操作はしやすく、二つ折りにできてゲームボーイアドバンスもプレイできるゲームボーイアドバンスSPは特に人気です。

初代ゲームボーイやゲームボーイポケット・ゲームボーイライトでもRPGツクールGBは使えますが、これらはどれも白黒液晶画面なので見づらいと思います。

【お好みで】ターボファイル

ターボファイルがなくても、RPGツクールGBカートリッジに作ったゲームデータは保存できます。
ゲームボーイとつなぐターボファイルGBという周辺機器があると、作ったゲームをさらにターボファイルにたくさん保存できます。

【お好みで】関連書籍

書籍は、RPGツクールGB公式ガイドブックの一冊のみです。
RPGツクールGB2の公式ガイドブックは出ていません。

イベントの作り方サンプル、データ一覧、ゲーム開発管理シートなども載っており、RPGツクールGBで作るなら持っておくと役立つ一冊です。

■追加の顔グラフィックを使う隠しコマンド
 ゲーム エディット
サンプル つうしん
せってい チュートリアル

が表示されているメニュー画面で

・『上上右右下下左左スタートセレクト』を押す。
・キュイーンと音がなる。
・エディットを選ぶ。
・追加の顔グラフィックが使えるようになったと表示される。

■顔グラフィックが追加できるプロマイドの場所
 サンプルゲームの以下の場所にある。

 ・味の塔 3F
 ・洞窟   B3F
 ・天の塔 3F
 ・研究所 B2F

RPGツクールで制作しているゲーム制作者なら、必ず一度は通るのがゲーム制作が未完成で終わってしまうエターナル状態。RPGツクールGBは小さいからこそ、作るための労力が少なく、エターナルを避けやすいツクールシリーズです。

他のRPGツクールシリーズを使ってやってみたんだけど、挫折した、エターナルになった

という人は、RPGツクールGBからRPG作りを始めてみてはどうでしょうか?

『あれもできる・これもできる』という多機能性は、開発者が『あれもやらなきゃいけない・これもやらなきゃいけない』になりがちです。顔グラや音声は、あれば表現力が高まるものの、その分、開発者が作らなければいけない素材、決めなければいけないことがキャラクターの人数分だけ増えていきます。

しかし、RPGツクールGBのようにできることが少ない環境では、その環境でできることだけに集中ができます。小さくても、一度完成までできてしまえば、ゲーム全体をより理解できるようになるし、何よりも『一つ作れた!という自信や成功体験』を手に入れることができるのです。

たとえ小さくても完成できているということは、ストーリー作りもキャラ作りもセリフもシーンイベント実装もゲームに必要なものがすべてできていることを意味します。

その時、あなたは既にRPGツクールGBで作った既存作品を持っているわけですから、ストーリーもイベントの実装方法も理解しています。
バトルのある作品なら、バトルのバランス調整も終わっているでしょう。

そうやって、ひとつできたら、ゲームボーイで作った試作品をプレイしてみながら、その作品を他のRPGツクールに移植すればいいのです。何度もエターナルになってしまうときは、より小さく始めて、少しずつ大きくしていくことを意識してみることが大切です。